嫌々勉強している場合

<ポイント>
  • 嫌々勉強するようになってしまうと、非常に厄介である
  • この場合には根気と、とにかく褒めることが大切。

嫌々勉強している場合

 勉強というと辛いものというイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実際子供達にとっては決して楽なものではありません。

 個別指導をやっている人なら、往々にして出会うこともあると思いますが、「嫌々勉強している生徒」は非常に厄介です。

 嫌々勉強をやっていると聞くと、いかにも生徒本人が悪いかのように聞こえますが、多くの場合勉強環境そのものに問題があります。

 酷い場合になると、勉強するとなった途端に目がうつろになり、生返事になる生徒もいます。
 そういった生徒に対してきちんと話を聞いていると、泣きながら「勉強すると辛い」「また怒られる」「いい学校に行けとしつこく言われる」「まともな人間になれないと言われる」と言うなど、かなり深い心の傷を感じ取られる場合があります。

 まず、子供にとっての大きな喜びとはなんでしょうか?

 それは親を筆頭に他人から認められて褒められること、だと思います。

 実際、サルを用いた実験で、褒められると脳内で快楽物質であるドーパミンが分泌され、脳の神経を褒める原因となった行為を取る方に成長させていき、褒められる原因となった行為を取りやすくなるということが知られています。
 なので、生理学的には勉強して褒められると、それが嬉しくなってより勉強をする方向に動いていくはずです。

 しかし、実際にはそううまく行きません。
 親の希望があまりに高い場合や、親が熱心な場合、ついつい子供が思ったように上手くやらないことに腹を立て、叱りつけてしまいがちです。さらに酷くなると、親が自分の子を「この子は全然できない子で」などと人前であるにもかかわらず、平気で卑下することもあります。
 このようなことがあると、上で説明したことと真逆な事が起こります。

 子供の目線からすると「何で叱られるんだろう」ということになります。
 客観的に事実を見ると、勉強という苦労をしているにもかかわらず、「勉強すると全然上手く行かず、叱られている」ということになります。すなわち、勉強=叱られる原因と考えるようになり、勉強自体を拒絶するようになります。

 保護者の方々は本当に子供のことを思っていますし、だからこそ本気になっているのですが、本気で子供を愛しているからこそ、空回りして子供の成績が下がる、という結果が導かれる、というとても皮肉な事実です。

 もしご自分の子供が勉強をするとなると必死で逃げるようになっていて、問題集を解いていても心を閉ざしているようになっているのなら、まずは褒めることから始めて下さい。

 もし個別指導や家庭教師をやっていて、このような生徒が来た場合、勉強を強制するのは絶対やめましょう。
 その場合はリハビリのつもりで簡単なものから取り掛かり、上手く行ったら褒めてあげることが大切です。保護者にはしっかりと説明し、勉強しても叱らないように注意してください。
 ただし、保護者の方々にもプライドがありますので、説明の際には相手を責め立てるような言い方は絶対にやめて下さい。

 実際、このケースの場合、根が深い場合は回復するまでにかなり時間がかかることがあると思います。
 また、非常にデリケートで、受験に間に合わない可能性もありますが、根気よく向き合っていきましょう。

  • 最終更新:2012-01-09 14:06:12

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