段階を踏む

例えば、次の悪い例を見てください。


(悪い例)
少し人体の話をしましょう。
ヒトは食べ物を食べた時、胃から十二指腸、小腸、大腸へと送られて、肛門から排出されます。

小腸は栄養を吸収する役割があります。
主な対象は蛋白質、脂肪、炭水化物の三つです。これらはカロリーを作る働きがあり、他の栄養素と比べて多く消費されるため、三大栄養素と呼ばれます。
この中で脂肪は水と混ざりにくいため、通常は吸収しづらくなっています。なので、胆嚢に蓄えられている胆液という液が十二指腸に出され、胃から送られてきた食物と混ぜ合わされることによって吸収しやすい形に変えられています。

一方、小腸はこれら三大栄養素だけでなく、ビタミンやミネラルといった栄養素の吸収にも関与しています。

ビタミンには、水によく溶ける水溶性ビタミンと、油によく溶ける脂溶性ビタミンの二種類があります。
水溶性ビタミンにはビタミンB、Cなどがあり、脂溶性ビタミンにはビタミンA、D、E、Kがあります。

脂溶性のビタミンは脂肪と同様、水には溶けにくい構造をしているため、吸収するためには胆液の働きが必要となります。
そのため、胆液の通る道が詰まっていたり、胆液が作られなかったりすると、ビタミンが十分に吸収できなくなります。

上にあげたビタミンのうち、脂溶性ビタミンのビタミンDは骨を強くする働きがあります。そのため、胆液が出なくなると、骨が弱くなる危険性があります。



いかがでしょうか。理解できたでしょうか。
わかりやすい文章だったという人もいると思いますが、なんだか途中でこんがらがって訳わからなくなったという人もいるでしょう。

この差はどこからできているのでしょうか。

頭の良し悪しでしょうか?全く無関係とは言いませんが、違います。
ここでできた差は「上で説明された内容についてどれだけ詳しいか」に依存しています。
例えば、医学を専門としている人であれば、全部理解した上で「胆液が肝臓から作られることを書いた方がいいんじゃない?」 とか突っ込んでくるかもしれません。
小学生が見たら「なんか難しいことを書いてる」で終わりでしょう。

言われてみれば当たり前でしょうが、この事が指導にはとても重要だということは、案外忘れられています。

基礎知識がないと、難しいことは理解できないのです。仮に理解できたとしても、すぐに揮発します。
そして、理解してしっかり脳に焼き付くまでは時間がかかります


そもそも、理解という行為は、脳のシナプスの再構成によって起こります。
脳細胞は成長や伸展も遅いですし

  • 最終更新:2012-09-16 17:54:33

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